もう1度~私と先生と桜の木~
「この2人の馴れ初めがさあ、そりゃあもう感動的で!」
「だからやめてよ、類!」
「いや、この話は披露したほうがいい!
そのほうがテルくんの株が上がるってもんだろ!」
「テルくん?」
「さっき見せた奏のカレシだよ」
ああ、テルくんね。
俺の中の何かがギューッと痛くなってきて。
だけどそれに気付かないフリをした。
「で、馴れ初めっていうのは?」
「あのな、奏、バイト先で変態店長に狙われててさあ」
「変態店長!?」
どういうことだ!それ!!
「そのまんまだよ。
ハゲたオヤジで、ずーっとヘンな目で奏のこと見てて」
「大丈夫だったのか!?奏!!」
「うん…一応」
一応ってなんだよ、それ!
「一応、じゃないだろ。
奏がその変態店長に言い寄られて。
そのときに助けてくれたのがテルくんなんだ!」
「…カッコイイ、な」
なんだよ、そのヒーローみたいなオトコ。
カッコ良すぎてもう何も言えないじゃないか。