もう1度~私と先生と桜の木~
「じゃあ、また」
「うん」
頭を引き寄せられる。
「おやすみ」
そうしてキスをして帰って行くテルくん。
玄関のドアを開けて家の中に入ると同時に
「はあ…」
と溜め息が溢れた。
私は、最低なオンナだ。
どうしようもないくらいに、最低なオンナ。
あんなに優しい彼氏がいて。
友達にはいつもうらやまがしられて。
なのに私…
「…よーたくん」
よーたくんが忘れられなくて。
さっきだってキスされたとき、
よーたくんの顔が頭をよぎった。
自分でもビックリするほど、
よーたくんへの想いがあの再会した日から膨れ上がってきて。
もうあの想いにはカギをしたはずなのに。
それなのに。
やっぱり、よーたくんに会うんじゃなかった。