もう1度~私と先生と桜の木~





本当は成人式の日、みんなに会いに行くのはやめようと思っていた。

懐かしい顔ぶれに会いたい気持ちはあったけど。

でも、よーたくんに会うことが怖くて。


だから、行かないつもりだった。


でも類と碧に言われたんだ。


『本当にまだよーたくんがスキかどうかだけでも確かめに行ったら?』

って。


あの2人には本当のことを言ってある。


テルくんのことはスキだけど、

でもどこかでよーたくんのことを想う気持ちがあるのは分かっていて。


それでも、あの日…卒業式の日に宣言したから。

『先生のこと想うのやめる』

って言っちゃったから。


その気持ちに見て見ぬフリをしていた。

年月が流れて行くと次第によーたくんへの気持ちは薄れていく。

そう、思っていたのに。


なのに、よーたくんは私の中であり続けた。


やっぱり、行くんじゃなかった。

あの桜の木の下で久々によーたくんに会ったら。

私はいっきに高校生へと戻っていて。

一切会わなかった2年の月日はなんの意味もなく。


どれだけテルくんと一緒にいても埋められない気持ち。

誰に聞いても別れろ、と言われるのは分かってる。


でも、それができないのは

よーたくんを想い続けたところで、結局叶うはずもない。


だったらいっそのこと、

このままテルくんと一緒にいてよーたくんへの気持ちがまた少しでも減るのを待つほうがいいんじゃないか。


なんて身勝手な考えが私を支配しているから。





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