もう1度~私と先生と桜の木~




「で、何?

テルくんとどうすればいいか分からない、ってワケ?」


「その通りです…碧さん」


次の日。

大学の講義を終えた私は碧と類と駅前のカフェにいた。



「ホント、奏って真面目だな」


類が呆れた顔で言う。



「真面目って何が?」


「だからさ、いろいろカタく考えすぎなんだよ。

いいじゃんか、よーたくんが好きでも。


だいたい、テルくんは知ってるんだろ?

奏がよーたくんを好きだって。」


「そうなんだけど…」


類の言う通りだ。

テルくんに告白された時、私は正直に言っていた。


『好きな人がいる』

って。

でもテルくんは


『それでもいい。

ただ、俺と一緒にいてほしい』

そう言ってくれて。

1年前、付き合うことになったのだ。


「でも、あくまでも1年前の話でさ。

あれ以来よーたくんの話なんてしてないし…」


視線がだんだん下に向いて行く。


「もう類は何にも分かってない!

奏はバカ真面目なんだからこんだけ悩んだってなんも不思議はないでしょ!?」


…あのー?碧さん。

それ、フォローになってないです…






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