もう1度~私と先生と桜の木~




「みんな、変わってた?」


「ううん。そうでもない。」


「そっか。

まあでも高校卒業してまだ2年だもんな。

そう変わってないか」


テルくんはビール瓶を持つと私の空いたグラスにたっぷりビールを注ぐ。

そして自分のグラスにも注いで、一気に飲み干す。



「顧問の先生は?いたんだろ?」


「え…」


「ほら、なんて言ったっけ?

類がよく言ってたよな。

愛すべき癒しキャラって…」


えーっと、と唸るテルくん。

どうやら名前を思い出せないようだ。



「…よーた、くん」


「ああ!そうそう!よーたくん!

同窓会に来てたんだろ?」


「うん。いたよ」


「2年前と変わってなかった?」


「…少し、痩せてた」


「いろいろ苦労してんのかもなあ」


と、呑気に返すテルくんだけど。

どうしてそんな顔をしていられるんだろう。


テルくんは知ってるはずなのに。

昔、私がよーたくんを好きだったこと。







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