もう1度~私と先生と桜の木~
言葉がただ、出なくて。
涙が溢れるばかりで。
「私…私は、ホント…」
「言わなくていい。
俺はそういう奏をちゃんと受け止めてるから」
テルくんの背中に回した腕に力が入る。
私はテルくんにこんなに愛されているというのに…
なのに、何も返せていない。
むしろ、ヒドイことばかりしていて。
でもテルくんはいつも、いつだって笑顔で私の横にいてくれている。
「ごめんね…」
「それはナシ。
俺が惨めになるだろ?」
顔をあげると苦笑いのテルくんと目が合う。
「うん、ごめ…」
テルくんの眉間にシワが寄って。
慌てて
「じゃなくてありがとう」
と、言いなおす。
テルくんからの愛に対して
相変わらず何も返すことができないかもしれない。
でも、どうか待っていてほしい。
私が本当に心の底から
あなただけを見ていられる日が来ることを。