もう1度~私と先生と桜の木~
「奏ちゃんは~彼氏、いるんだっけえ~?」
「一応、はい。」
「そっかあ…
可哀想になあ~」
「え?誰がですか?」
呂律が危うい翔馬の口をふさぐ。
「テメェ…酔っ払ってっからって余分なこと言うんじゃねーぞ」
耳元でボソッと呟く。
「うわっ!よーた怖いっ!
俺を脅すなんて!」
「え?脅す?」
ったくこの困った野郎が!
イチイチ声がデカイんだっつーの!
「はっ!?若林、カレシいんの!?」
え!?町田先生反応遅くね!?
「冗談だろ!お前はまだ純情で…」
「勝手にヘンな想像しないでよ!」
顔を真っ赤にして奏が怒る。
でも、そう…なんだよな。
町田先生の言葉で気づいた。
奏はもう二十歳で。
彼氏はがいて。
しかも年上の彼氏で。
そりゃあ…高校生の頃と変わってない、ワケないもんな。