もう1度~私と先生と桜の木~
それからどのくらい経ったか分からない。
急にコツンと肩に体重がかかって。
少し首を動かすと
「…バーカ」
無防備な顔した奏が俺の肩に頭を乗せて眠っていた。
なあ、奏。
そういうことはな、彼氏以外のオトコにしちゃいけないんだぞ?
お前はもしかしたら
俺が先生だから安心して寝ているのかもしれないけど。
でも俺だって一応、オトコなんだから。
そんな無防備に寝るなよ、奏。
プシューッとドアの閉まる音。
バカ奏。
お前のせいで俺が降りるはずだった駅が遠くなって行くよ。
ドキドキと鳴る心臓がイヤでイヤでたまらなかった。
奏にはちゃんと、
アイツを守ってくれる優しいオトコがいるのに。
なのに俺は、この気持ちを止められないんだ。
なあ、奏。
俺、頑張って普通を装うから。
だから、もうこれ以上、俺に隙を見せないでくれ…