もう1度~私と先生と桜の木~
「で、なんで別れそうなんだよ?」
聞いてはいけない、
そう分かっていても聞かずにはいられなくて。
「それがテルくんが…」
原因は相手なのか?
「酔った勢いで女の人と一晩過ごしたらしんだ。…ホテルで」
「……今奏はどこにいる?」
「え?」
「どこに行けば奏に会えるんだよ?」
悔しかった。
俺なら奏を傷つけるような真似は絶対にしないのに。
ひと時でも『テルくん』を信じた俺がバカだった。
みんながいいヤツだと言うから。
だから奏をそいつに任せようと思ってたのに。
なのに…!!
「いや、ちょっと落ち着いてよ。
今よーたくんが行ったら余計ぐちゃぐちゃになるだろ?」
「分かってる!そんなことは!!
でも、でも奏をほっとけないだろ!?」
「よーたくん…」
困惑した顔で碧と類は顔を見合わせる。
「…奏は今、バイト先にいると思う」