もう1度~私と先生と桜の木~
それはたった3日前のことだった。
会いたいと言われ、バイト終わりにテルくんと会う。
そうするとどこか浮かない顔をしていて。
「どうしたの?」
「…ごめん、奏…」
なんのことだろう。
ただテルくんの顔が真っ青で。
意味が分からなかった。
「俺…隠し事なんてできない」
そう言ったテルくんは昨日の出来事を素直に話してくれた。
大学のサークルで飲み会があったこと。
その飲み会でいつもより飲み過ぎて、記憶をなくしたこと。
朝、目を覚ますとホテルのベットで裸でいたこと。
隣には前に告白してきた女の子がいたこと。
「ごめん、奏。
俺、取り返しのつかないことした…」
分かってるなら…
取り返しのつかないことをしたということが分かっているなら…
「謝らなくていいよ」
「え?」
「謝ったところでなかったことになるワケじゃないじゃん」
不思議と怒りと言う感情も、
悲しいという感情も起こらなかった。
「ごめん。今日はもう帰るね」
でも、一緒にいたくない、とはっきりと思った。