もう1度~私と先生と桜の木~
「なんかまた進展あったらちゃんと連絡してね?」
「うん。分かってる」
「奏、俺たちはお前の味方だからな。
どっちに転んだって、それだけは忘れんなよ。」
「ありがとう」
バイバイと手を振る。
碧は歩いて行ったけど、なぜか類はそこにいて。
「類?」
「間違っても、流されるなよ。」
「へっ?」
「ちゃんと、自分の頭で考えて自分の目で見て決めろ。
自分を幸せにしてくれるのは誰か、って。」
「…うん。大丈夫。」
「ならいい。じゃあな」
「バイバイ」
最後に類は私の頭にポンと手を置いて満足そうにほほ笑んだ。
「類ー!行くよー!」
遠くから碧が呼ぶ。
「連絡、待ってるからな」
類は碧の元へ走って行く。
そして隣に並ぶと自然に手を繋ぐ。
そう。本当に自然に。
それが当たり前だと言わんばかりの様子で。
…うらやましい。
本音がもれた。
ねえ、テルくん。
私たちは…あんなふうにはなれなかったね。
…きっと原因は、あなたじゃない誰かを好きだった私にあるんだろうけど。