もう1度~私と先生と桜の木~






「自分自身が許せない、ってどういうこと?」


「そのままだよ。

私は中途半端なままの自分が許せないの」


分からない。

その言葉に何度逃げただろう。

でもそれは今日限りでやめる。

分からない、じゃない。

考えたくなかっただけ。

だからこれからはちゃんと、考えて行動する。

だって…私自身のことなんだもん。



「意味が分からないよ。

中途半端なままの自分ってなんだよ?」


「…テルくんと付き合ってるのによーたくんが忘れられない。

それって十分、中途半端だと思うの。」


「そんなの…!

俺はいつまででも待つって言っただろ?」


「うん。その言葉はホントに嬉しかった。

でも…ダメだと思うの。

私はもう、テルくんを苦しめたくない」


泣いてはいけない、そう必死で自分に言いきかせた。



「俺は苦しいなんて…」


「この間のこと、多分私が原因なんだと思う」


「…え?」


「テルくんはそうやって待ってるとか苦しくないって言ってくれるけど。

でも、内心じゃ不安でたまらなかったんだと思う。

私が…不安にさせてた。


だから酔った勢いに任せて、そういうことになっちゃったんだと思う。」


最初から私にテルくんを責める権利などなかった。

だって私がいけないんだから。


こんなに優しい人が、

いくら記憶が無くなるくらい酔っていたからと言って好きでもない人と寝ないと思う。

少し考えれば分かることだった。

テルくんは、そんな人じゃない。


でも、私じゃない女の人とそういうことになったのは事実。

テルくんを変えてしまったのは私。


全ての責任、原因は私にあったんだ。









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