もう1度~私と先生と桜の木~
「なあ、奏?」
「…ん?」
「元気にしてた?」
正面に座るよーたくんに見つめられる。
「うん。…寂しかったけど」
「え?」
「誰かが私のこと放置してたから」
「ああ…ごめん、な」
「誰もよーたくんに、なんて言ってないけど」
「…ごめん」
肘をテーブルにつき、手に顎をのせる。
「そんな拗ねた顔すんなよ」
よーたくんの腕が伸びてきて。
何をされるのかと思えばペチッと音をたててデコピンをくらう。
「いった~いっ!!
なんで!?なんでデコピンされなきゃいけないの!?」
「うっさい。
お前がいけないの」
「いけないのはそっちじゃん!
…3ヶ月放置された私の気持ち、分かる?!」
言うつもりじゃなかった。
自分からこの話題を言うことはなんだかイヤだったから。
だから、言わないつもりだったのに。
なのに…思わず口から出てしまった。