もう1度~私と先生と桜の木~
…とは願ってはみたものの。
パチンとケータイを閉じる。
そう。結局俺はチキン。
電話なんてかけることができない。
だから…
【ブーブーブー】
と手の中のケータイが突然鳴りだして。
着信の相手の名前が表示されたとき。
俺の心臓は止まりそうになった。
「…もしもし」
『…しょう、ま…』
3年ぶりに聞いた声。
こんな偶然、ありえるんだろうか。
俺が電話をかけようと思って諦めた瞬間、
そのかけようと思っていた相手から電話がかかってくる。
これって俗に言う…
そこまで考えて俺の思考は停止した。
だって理子が
『…会いたい、翔馬』
そう言ってくれたから。