もう1度~私と先生と桜の木~
「理子~?いるんだろー?」
リビングに繋がるドアだろうか。
それを開けると
「……りこ…」
カーテンの隙間からもれる月明かりに照らされた理子がいて。
「どうした?」
月明かりに照らされた理子は震えていた。
「…翔馬ぁ…私…っ…!!」
体育座りをして、そこに顔をうずめていた理子。
俺はその隣に座る。
そうすると顔を上げた理子は俺のスーツの腕の部分をギュッと掴む。
「…苦しいよぉ…」
そのままボロボロと大粒の涙を流す。
自然と、抱きしめていた。
それが当たり前だったかのように。
本当に、自然に。
不謹慎だろうか。
理子がこんなに苦しんでいるのに、
懐かしいと、愛おしいと心の底から感じてしまうことは。