もう1度~私と先生と桜の木~
そうして次の日の朝。
近い親族が集まってお父さんの火葬が行われた。
この場に俺がいることは本当に奇跡に近い。
だって俺は近い親族でもなんでもないんだから。
でもお母さんに言われたんだ。
『理子のこと支えてやってほしい』
って。
さすがに控室にいるのはなんだかいたたまれなくて。
壁にもたれて煙突から上がる煙を眺めていた。
「…翔馬」
ふと人の気配がして。
そうすると名前を呼ばれる。
「どうした?」
喪服に身を包んだ理子が俺と同じように煙を見つめる。
「人の死…って呆気ないね」
「そう、だな」
それきり黙ってしまう理子。
そんな理子の横顔を見つめる俺。
「ん?何?」
「結婚、しよっか」