もう1度~私と先生と桜の木~




「……え?」


ウソでしょ、とでも言いたげな理子の顔。


「結婚、しよう」


もう1度言い直す。



「なんでこんなときに…」


「今しか言えないんだ」


「…え?」


「お父さんが俺たちのこと、見てくれてる今しか言えない」


俺は理子から空へと視線を移す。



「翔馬…」


「返事は?」


「返事って…

私たち、今はもう赤の他人だよ?」


「関係ないだろ。

その前に何年の月日を積み重ねたと思ってんの?」


そう言うとしばらく見ていなかった気がするが

理子がふっと笑ってくれた。


「変わったね、翔馬」


「それはいい意味で?」


「さあ?」


いつもの顔。

俺の好きだった顔。

理子は笑っていた。



「お父さん?

私、翔馬と結婚する。

…ずーっと見守っててね?」








―END―

→あとがきpart2








< 221 / 222 >

この作品をシェア

pagetop