もう1度~私と先生と桜の木~
「……え?」
ウソでしょ、とでも言いたげな理子の顔。
「結婚、しよう」
もう1度言い直す。
「なんでこんなときに…」
「今しか言えないんだ」
「…え?」
「お父さんが俺たちのこと、見てくれてる今しか言えない」
俺は理子から空へと視線を移す。
「翔馬…」
「返事は?」
「返事って…
私たち、今はもう赤の他人だよ?」
「関係ないだろ。
その前に何年の月日を積み重ねたと思ってんの?」
そう言うとしばらく見ていなかった気がするが
理子がふっと笑ってくれた。
「変わったね、翔馬」
「それはいい意味で?」
「さあ?」
いつもの顔。
俺の好きだった顔。
理子は笑っていた。
「お父さん?
私、翔馬と結婚する。
…ずーっと見守っててね?」
―END―
→あとがきpart2