もう1度~私と先生と桜の木~
思い出した!
思い出したぞ!俺!
賢いぞ、俺!
…ってそうじゃなくて。
そうだ。
『若林奏』
町田先生のクラスの英語が苦手だけど頭のいい子だ。
それで、どっかで見たことあると思ったのは、
入学式のあの日。
裏庭の桜の木を見上げてた、あの子だからだ。
「よーたくん、うるさいんだけど」
「あ、悪い」
圭右に睨まれ、へへっと笑って誤魔化す。
「じゃあ俺、練習に戻るから詳しいことはこの頼りなさそうで、草食男子っぽいよーたくんに聞いてね」
「おいっ!圭右っ!!」
ったく余分なこと、言いやがって。
「どーも、初めまして、碧ちゃん。
それと久しぶりだね、奏ちゃん」
そう笑いかけると奏ちゃんは少し恥ずかしそうに俯いた。
良かった。
やっと会えた。
あの桜を好きな子に。
まあでもまさか、町田先生のクラスの子だとは思わなかったけど。