もう1度~私と先生と桜の木~





「まさかなあ……」


「なんですか??」


「いやあ、よりによってお前らのクラスの担任になるとは」


始業式は終わり、部活の時間。

みんなはグランドをランニング中。

碧は用事があるらしく今日は帰ってしまった。


「俺は嬉しいよ、奏。」


「私はそうでもないけど…」


「ヒドイ!!ヒドイぞ、奏」


「先生…うるさい」


そう言うとよーたくんのションボリ顔が余計にションボリする。


私は、ウソつきだ。

よーたくんが担任で

本当はめちゃくちゃ嬉しいくせに、

嬉しくないなんて言ったりしちゃってるし、

うるさいだなんて微塵も思ってない。

むしろ、嬉しいくらいだ。

こんなにも親しげに話せて。


「ま、俺は知ってるけどな」


「何を??」


「本当は奏が喜んでること」


よーたくんはニヤッと笑っていて。


「…バカ」

と、小声で呟いた。






< 34 / 222 >

この作品をシェア

pagetop