もう1度~私と先生と桜の木~
「よーたくーんっ!」
突然、そんな声が聞こえて。
振り向くと、満面の笑みを浮かべたマッチーがそこにいた。
「だから、呼ばないでって言ってるじゃん」
「えー…いいじゃん、生徒だってそう呼んでるし。
な?若林?」
「奏は俺のことよーたくん、って呼ばないですけど」
また、してやったり顔のよーたくん。
これが恐らく世間一般で言う『ドヤ顔』なんだろう。
「いいよ、もう。
そんなことどうだっていいです」
「うわー
いじけてる!
マッチー大人げないっ!」
そう言うよーたくんの後頭部をバシッと叩くマッチー
思わずクスッと笑ってしまう。
「なんだよ、奏」
「いや、2人って仲良いだなーと思って」
「え?やっぱそう思う?」
嬉しそうに笑うよーたくん。
でもその正反対の顔をするマッチーは
「やめてくれ、若林。
コイツとそんなふうに見られるのは心外だ…」
という顔をしていた。