もう1度~私と先生と桜の木~
「よーたくん、奏のことどういうふうに見える?」
「厳しい。クール。怖い。
頭いいけど、英語苦手」
「最後の言葉聞いたら奏、キレそうだね」
そう言いながら笑う碧。
良かった、ここに奏がいなくて。
「あたしもさあ、
よーたくんと一緒にいる奏見てるとそういうふうに見えるんだけど。
でもいつもの奏はそうじゃないんだよ」
「はあ?どういう意味?」
「分かんない」
分かんない、って。
なんだそれ。
「けど、奏はよーたくんがいないときはそんなんじゃないんだよ。」
「じゃあいつもはどんなんなんだよ?」
「いつもニコニコしてて、
ちょっとドジで、優しい子」
「…ウソつけ」
奏はそんな子じゃあない!
優しいし、ちょっとドジなのは分かる。
でもニコニコしてるのはウソだ!
俺の前じゃいつもなぜか眉間にシワが寄ってるぞ!
「信じてくれなくていいもん!
今年1年、担任なんだから奏のこと見れてば分かるよーっだ!」
碧はそう言ってベーッと舌を出していた。
うーん…そうは言われても信じられないなあ。