もう1度~私と先生と桜の木~




次の日から碧に言われたせいで

奏をよく見るようになった。


そうすると、

本当にビックリするくらい奏はいつも笑顔で。

眉間にシワなんて1本もなくて。


ふと、思う。

俺って奏にキラわれてんのかな…


だって、そうだとすると全て辻褄が合うじゃないか。

俺のことがキライだから俺に冷たいんだろうし、

俺のことがキライだからいつも眉間にシワを寄せてる。


そう思うとテンションがガタ落ちになって。



「よーたくん、どーしたの?」

掃除の時間に類にそんなことを聞かれた。


「いや、俺…奏にキラわれてるんだよ」


「えっ!?何それ!」


「何それってそのままだよ。

奏は俺がキライなんだ…」


「奏に言われたの?」


首を横に振る。

そうすると類は図々しく俺の肩に手を乗せる。


「じゃあそれはよーたくんの勘違いだよ。

少なくとも奏はよーたくんのこと、キライだなんて思ってない。


俺が保証する」


類が自信満々な顔で言うから。

だから俺は、類を信じることにした。


…単純なヤツ、とはぜひ思わないでほしい。







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