もう1度~私と先生と桜の木~
「よー!こっちこっち!」
「もう始めてんのかよ、早いっつーの」
「うるせー
お前が来るの遅いからいけないんだろー」
ビールの中ジョッキをグビグビと飲み干すこの男。
大学時代のツレの最近長年付き合っていた彼女にフラれた翔馬。
今日はフラれたときの話を聞くためにこうして久々に飲み屋で会うことになった。
「で、何?
なんで理子ちゃんにフラれたワケ?」
理子ちゃんは翔馬の元カノだ。
俺も何回かは会ったことがある。
結構美人で印象もかなりいい。
「世間一般で言う…マンネリってやつ」
「ウソつけ。
お前が素っ気ない態度取ってたからだろ」
「なんでそんなことが言えんだよ」
「お前のこと、よーく知ってるからだ」
ニヤッと笑うと翔馬は悔しそうな顔をする。
どうやら本当に素っ気ない態度を取っていたらしい。
「サイテーだな、翔馬。
あんないい彼女、そうそう出会えるもんじゃないぞ」
「分かってる。
だから俺今、後悔しまくりなんだっつーの」
俯いて今にも泣き出しそうな翔馬。
思ってる以上にズタボロみたいだ。
「もういい!
こんなしけた話は終わり!
お前はどーなんだよ!」
「俺は別に…」
「なんだよ、別に、って。
お前こそ忙しいのにかまけて桃ちゃんほったらかしにしてんだろ!」
桃子…ね。
翔馬のヤツ、痛いところつくよ、ホントに。