もう1度~私と先生と桜の木~
分かっていたけれど
「あと1つだったのになあ…」
「それ、何回目ですか、結城先生」
「だってさあ、悔しいじゃん!」
時は少しだけ進み、
もう梅雨真っ盛りの時期。
春季大会は昨日、終わった。
うちのチームは準決勝まで進んだものの、敗退。
あと1つ勝てば初の決勝進出だったのに。
悔しすぎて溜め息と後悔が止まらない。
「どんだけ悔やんでも負けには変わりないんですから」
そう諭すのはもちろん町田先生。
「分かってますけどーぉ…」
「そんな顔しても俺はオチませんよ」
「なんすか、オチるって」
「分からないならいいです」
なぜか不機嫌な町田先生。
俺、なんかしたっけ?
…あ、俺がウザかったのか。
「…すいませんでした」
「え?何がです?」
振り向いた町田先生はいつもの顔をしていて。
あれ?
不機嫌じゃなかったのか。
なんだ。
謝って損した。