もう1度~私と先生と桜の木~
「そう言えば」
「なんすかあ?」
「彼女さんと、どうなりました?」
町田先生の興味津々顔。
完全におもしろがってやがる。
「どうもこうもないですよ。
浮気なんてしてない!の一点張りです」
つい何日か前の話だ。
休の日に、連絡なしで桃子の家に行った。
車で2時間かけて。
さすがに家にオトコがいた、
なんてドラマみたいなことはなかったが、
家に染みついたタバコの臭い。
桃子はタバコを吸わない。
どういうことだと聞くと
『友達がよく遊びに来るんだけど、その子がヘビースモーカーで』
と、少し焦った顔で言っていた。
まあなくはない話だと思いながらソファでくつろいでいた。
『髪、切った?』
『あ、うん。イメチェン。
どう?似合う?』
久々に会った桃子はショートカットになっていた。
俺が知る限り、桃子は何年もかけて伸ばした髪が自慢で。
イメチェンであんなにバッサリ切るなんてアリエナイ。
『短いのも似合うんだな』
そうシレッとした顔で答える。
でも、急になんだか全部バカらしく思えてきて。
『桃子』
『んー?』
キッチンでコーヒーを淹れる桃子に一言言い放った。
『別れよっか』