もう1度~私と先生と桜の木~
『なんで!?』
桃子は目を丸しくている。
『いや、他に好きなヤツいるみたいだから』
『好きな人なんて…っ!
私は陽太が好きだよっ!!』
桃子は俺をバカにしすぎだ。
確かに俺は人に鈍感だとよく言われる。
でも、分かるよ。
好きな人の変化くらいは。
『桃子、ウソつかなくていいよ。
俺が忙しさにかまけて連絡しなかったのが悪かった。
他のオトコに走ってもなんの文句も言えない。
だから、別れよう。
どうせ、もうダメなんだよ、俺たち』
桃子の目のふちに涙が溜まる。
『なんでっ!なんでそんなこと言うの!?』
『変わったよな、桃子。』
『私は何にも変わってないよ!』
『いや、変わった。
髪型もだけど、服の趣味も部屋の感じも。
1番変わったのは雰囲気だ』
前は明るい色の服なんて滅多に着なかったのにな。
今日の服、よく見ろよ。
黒とか白、一切使われてない。
雰囲気なんて全然違うよ。
俺の知ってる桃子じゃない。
『じゃあ、帰るな。
バイバイ、桃子』