もう1度~私と先生と桜の木~
付き合い始めて半年経った頃。
元カレとまだ繋がっていたという事実が発覚。
連絡をとっているだけならまだしも、飲んだ勢いでキスをしたとかしてないとか…
そして1年とちょっと経った頃。
人数合わせで行ったコンパ。
そこで知り合った男と関係をもった。
それでも桃子を許した俺は、
厳しいというよりはどちらかと言えば甘いほうだと思う。
さすがに過去2回の浮気の話しは引かれそうで怖くて町田先生にはできない。
「今度、誰か紹介しましょうか?」
「いやあ…いいです、しばらくは。
今は1人で十分楽しいですし」
今の俺は仕事があるから、彼女はいらない。
そんな強がりを心の中で呟いて、
ふっと笑う。
本当は桃子からの電話に出たくてたまらない。
『もうするなよ』
そう言って許してしまいそうな自分が怖い。
だから、通話ボタンを押してしまいそうな親指を必死で堪えているんだ。
つくづく、イヤになる。
どうして『恋』というのは
惚れたほうが弱い立場になってしまうのだろう。