もう1度~私と先生と桜の木~





『…と、いうワケでこの学校で多くのことを学んでほしいと思います。

そして…』


あー…長いなあ。

隣の人が欠伸をし、つられそうになって慌ててかみ殺す。


なんで入学式ってこんなに退屈なんだろう。

校長の話は長いし、

式辞やらなんやら、なかなか終わらない。


眠い目を必死に開けて人間観察を始めた。


まず今欠伸をした人。

多分、世間で言うモテ顔っていうんだろうな。

こういう人の顔って。


私はあんまりイケメンとか興味ないからよく分からないけど、

スラッとした体形でキレイな二重、薄い唇、程よい高さの鼻。

とても高1には見えない。


それに比べて私ってば…ホント、幼いなあ。


なんて思い、1人で落ち込む。


って、落ち込んでる場合じゃない。

人間観察の続きだ、続き!


キョロキョロと目だけ動かしてみる。


うーん…とくに目につくような人、いないなあ。

そう思い、職員席に目をやる。



…あ、なんだあの先生。

思わずクスッと笑ってしまった。


だって先生なのに今にも目が閉じそうになってるんだもん。











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