もう1度~私と先生と桜の木~
「奏ぇー!碧ぃー!!」
それから部活が終わって着替えると、
見慣れた姿が校舎から出てきて手を振りながら近づいてくる。
「今日も残ってたの?」
「まあね~」
校舎から出てきたのは琴音だ。
ここ最近、こうして部活終わりによく合う。
帰宅部の琴音がどうしてこんな時間まで学校にいるかはよく分からないけど、とりあえず居残りをしているらしい。
「なんか、嬉しそうだね」
3人並んで駅までの道のりを歩いていると琴音の頬はずっと緩みっぱなし。
こんなこと、思っちゃ悪いけどちょっと気持ち悪い。
「んー?ちょっとね~」
「「ヘンなの」」
偶然にも碧とハモった。
「なんかあったなら教えてよー」
碧がそう言うと
「んーどーしよっかなあ。
言っちゃおうかなあ」
とニヤニヤ顔のまま琴音が言う。
どうやら言いたくて仕方ないみたい。
顔にそう書いてある。
「教えてよ、琴音」
ダメ押しの一言を言うと
「実はー…
部活中のよーたくんと3回も目が合っちゃったの!!」
ほんのりと頬を赤らめた琴音はそう言った。