もう1度~私と先生と桜の木~
第3章―18歳―
別れの電話
琴音の気持ちを聞いてから、
私は裏庭の桜の木の下に行く回数を減らした。
自分の気持ちに封をするためには
よーたくんとの接触の機会を減らすのが1番だと思ったから。
でも、それは逆効果でしかなかった。
会わないと、会えないと、
会いたくて会いたくて仕方なくなって。
でも、その気持ちに気づかないフリをして。
桜が見える渡り廊下から
いつもよーたくんの背中を見つめていた。
そうしているうちに、
桜の葉は茶色くなっていき、
見る見るうちに散ってしまった。
そうして少し寒そうな桜に
追い打ちをかけるように雪が積もっていった。
外は寒く。
制服で渡り廊下に出るのは寒かったけど。
でも、いつもよーたくんが桜の下にいたから。
私も変わらずそこからよーたくんと桜を見つめ続けた。
そんなことをしているうちに年が明け、
雪は溶け、
桜に蕾がついて。
先輩たちが旅立っていった。
桜は去年と変わらないキレイな花を咲かせた。
その頃、私たちは高校生最後の1年を迎えた。