もう1度~私と先生と桜の木~
第3章―18歳―

別れの電話





琴音の気持ちを聞いてから、

私は裏庭の桜の木の下に行く回数を減らした。


自分の気持ちに封をするためには

よーたくんとの接触の機会を減らすのが1番だと思ったから。


でも、それは逆効果でしかなかった。

会わないと、会えないと、

会いたくて会いたくて仕方なくなって。


でも、その気持ちに気づかないフリをして。


桜が見える渡り廊下から

いつもよーたくんの背中を見つめていた。



そうしているうちに、

桜の葉は茶色くなっていき、

見る見るうちに散ってしまった。


そうして少し寒そうな桜に

追い打ちをかけるように雪が積もっていった。


外は寒く。

制服で渡り廊下に出るのは寒かったけど。

でも、いつもよーたくんが桜の下にいたから。

私も変わらずそこからよーたくんと桜を見つめ続けた。


そんなことをしているうちに年が明け、

雪は溶け、

桜に蕾がついて。


先輩たちが旅立っていった。


桜は去年と変わらないキレイな花を咲かせた。

その頃、私たちは高校生最後の1年を迎えた。








< 68 / 222 >

この作品をシェア

pagetop