もう1度~私と先生と桜の木~




「お疲れ様です」

よーたくんのところに冷えたお茶を持っていく。



「おう、サンキュー」

少し疲れたような顔をしながらも笑顔を浮かべるよーたくん。



「奏さあ」


「なんですか」


「英語、ちゃんと勉強してる?」


「…なんの話ですか」


そうサラッと言うと睨まれる。


「奏ちゃん、真面目なこと言っていい?」


「ダメ」


「いや、言うよ」


なら最初から聞かないでください、と言いたかったけどぐっと堪えた。



「いい?もう受験生なんだよ?

今までみたいになんとかなる!じゃ済まないよ?」


「分かってます」


「なら…」


「イヤ、です」


よーたくんの言いたいことなんて分かってる。


なら…の続きは


『特別補習、してやろうか?』


だ。


でも、そんなの無理。

そりゃあ2人になれるチャンスだけど。

だけど、そんな空間、耐えられない。


きっとそのうちに鼻血が垂れてくるに決まってる。

だからよーたくんのその誘いを断り続けている。






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