もう1度~私と先生と桜の木~




「だってお前…」


「大丈夫です」


またよーたくんの言葉を遮る。

なんとしても、2人きりの補習なんて避けなければいけない。

鼻血垂らすなんて醜態、さらせるワケにはいかないんだから。



「あー…もう」


「なんですか」


「奏、俺のことやっぱりキライなんだな」


「えっ!?なんでそんなことに…」


どこをどう飛躍すればその言葉出てくるんだろう。



「だって、最近来ないから」


その言葉で十分伝わった。

よーたくんは私が裏庭に行かないことを言っているのだ。


「私だって…忙しいんだよ」


「でも、今すっげえキレイなんだ」


知ってるよ。

そんなこと。

だって毎日、ちゃんと見てるから。


よーたくんの背中と、美しく散る、桜の花を。








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