もう1度~私と先生と桜の木~
「もう1つあるんだけど」
「私が先生を嫌ってると思う理由?」
コクンと頷くよーたくん。
「最近、奏が俺に寄ってこなくなった」
ドキッと胸が鳴った。
慌てて俯いて顔を隠す。
そんなこと、言われると思ってなくて。
あまりに予想外の言葉にたまらなくなった。
「先生に寄って行った覚えはないんですけど」
「そうかもしれない。
でも奏、気づいたら俺の近くにいつもいたのにさ。
最近、全然いないから。」
「だから私が先生を嫌いに…?」
またよーたくんはコクンと頷く。
もう、自分で自分がイヤになる。
なんでこんな人、好きになっちゃったんだろう。
相手の気持ちなんて微塵も気づかずに、
サラッとドキッとさせるようなこと言って。
罪深き、よーたくんだ。
「…いじゃないです」
「え?」
「そんなに、嫌いじゃないです」
ウソをついた。
そんなに、嫌いじゃない。
そうじゃない。
まったく、嫌いじゃない。
むしろ、大好きです。
…そう、伝えられたらどんなによかっただろう。