もう1度~私と先生と桜の木~
3階に着くと薄暗い廊下に明るい場所が1つだけ。
どうやらまだ類がいるらしい。
呼吸を整えながら教室に近づく。
そうすると
「はっ!?意味わかんねーよ!」
と、珍しく類の荒げた声が聞こえてくる。
誰かいるのかと思い、そーっと教室を覗いてみると
教室には誰もいなかった。
類はイライラした様子で歩き回っている。
右手にはケータイがあって。
誰かと電話中のようだ。
「なんでだよっ?!」
「…んなの意味わかんねえって!
納得できるワケねーだろっ!!」
どうしたんだろう、類。
もう2年もの付き合いになるけどあんなふうに取り乱してる類を見たことがない。
気がつくと私は隠れることもなく、類をただ眺めていた。
「…いやっ…でも…」
私は、心配だった。
一見すれば類は怒ってるみたいだったけど。
でも、私には分かる。
類、なんだか悲しそうだ…
「別れたくないに決まってんだろ!」
別れたくない…??
もしかして類の電話の相手って、彼女…?
「…あっ!おい!ちょっと待て…っ!!」
電話を終えた類は壁を殴った。
私はそんな類をただ見ていることしかできなかった。