もう1度~私と先生と桜の木~




「うん、まあな。

っていうか碧は??」


「あ、ちょっと待って。

連絡してくる」


「いや、いいよ。

俺はもう少しここにいるから碧と帰れよ」


もしかしたら、類は1人になりたかったのかもしれない。

1人になって、彼女との思い出を振り返りたかったのかもしれない。


でも


「…イヤ」

そう言った。


「なんだよ、イヤって」


「だって…」


「だって?」


「類、悲しそうだから」


1人になりたいのかもしれないけど。

でもそんな類、1人にしておけないよ。


碧にメールを打つ。


『ごめんね。先帰っていいよ』


それだけを送信する。



「奏さあ、俺のこと心配してくれてんの?」


「当たり前じゃん。

類、友達だもん」


そう言うと類はふっと笑い、


「お前が俺の心配するなんて100年早ぇーよ」

と、言った。







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