もう1度~私と先生と桜の木~





「はい、じゃあ先生の詳しい自己紹介は授業まで残しておいて、今日はこれで終わります。


はい、全員立ってー」


ガタガタとイスをひいて立ち上がる。

でも前の人は寝ていて。


え…あの短時間にもう熟睡?

こんなうるさいのに起きないの?



「はい、それじゃあまた明日」


えーっ?!

先生、寝てるのに気付いてないしっ!


初対面の人を起こすのは気が引けて、声をかけるワケにもいかないし…


そう思っていると


「さよーなら」


「「さよーなら」」

あいさつ…終わってるし…


ぞろぞろと教室を出て行くみんな。


うわっ…そう言えば私、まだ誰とも喋ってない。

ヤバイくない?

まだ友達ゼロじゃん!


なんて焦っていると教室には私とまだ寝ているイケメンくんの2人きり。


え?え?ええ?

みんな帰るの早くないですか?!


カバンに荷物をつめる。


そして教室を出ようとカバンを持ち上げると



【ガッシャーン】


あー…やっちゃった。

カバンを肩にかけるひもがイスにひっかかって、すごい音をたててイスを倒してしまった。


私ってば…ドジだなあ。






< 8 / 222 >

この作品をシェア

pagetop