もう1度~私と先生と桜の木~




どれくらい、2人で空を眺めていたのだろう。

もうすっかり日は暮れていて。

夜風が肌寒い。



「おーい、お前らあ~

いつまで教室にいる気だあ~」


そんな聞きなれた声が聞こえてきたかと思うと。


「…あ、ごめん。邪魔…だったな」

さっきとは明らかに違う声色。

戸惑ったような声。


「よーたくん、何言ってんの?」


教室に来たのはよーたくん。

多分、あまりにも私たちが鍵を返しに来ないからしびれを切らして様子を見に来たのだろう。


「いや、その…俺、邪魔だったかなあ、って」

気まずそうな顔でモジモジしてるよーたくん。

そんな姿にキュンとする。


って、そんな場合じゃない!


「何それ!私たちそういう関係じゃないよ!?」

よーたくん、絶対付き合ってるって勘違いしてる!


「いいよ、隠さなくても。

別にバスケ部は部内恋愛禁止じゃないし…」


「いや、違うって!」


類も否定するけど。

でもよーたくんは


「なんだよ…

そんな俺に内緒にしたかったのかよ…」


と、なぜか落ち込む始末。


もうっ!サイアク!

好きな人にこんな勘違いされるなんてー…っ!!







< 80 / 222 >

この作品をシェア

pagetop