もう1度~私と先生と桜の木~
翔馬と呑んでから奏をどうしても意識してしまってうまく接することができなかった。
でも奏は全然そんなこと気にもしていない様子で。
そこから考えた結果、
やっぱり翔馬の言っていたことはアイツの予想でしかないという結論に至った。
「おっはよー!奏!!」
「あ…おはよう…ございます」
そういう結論に至った俺は、
奏を意識することはなくなって。
あまりに元気よくあいさつしたせいか奏の顔が引きつっている。
「よし!全員いるな?
アップするぞ」
今日は春季大会の決勝戦。
これに勝てばインターハイ出場の権利をもらえる。
相手はインハイ常連校。
対してうちは初決勝戦進出。
それも準決勝はギリギリで勝てた。
誰がどう考えても勝つのは相手校だと予想するだろう。
それは仕方のないことだ。
でも、負ける気なんてサラサラない。
俺たちは負け試合をするつもりで挑むのではなく、
勝ちに今日、ここまで来たのだ。
「うん、俺も一緒にアップ行ってこよっと!」
「…いってらっしゃい」
奏の顔がまたもや引きつっていたことは無視して、
俺は部員たちのあとを追いかけた。