もう1度~私と先生と桜の木~




「なんだよ!気持ち悪いって!」


「だっていきなりちゃん付けしたり、謝ったりされたら誰だってそう思うよ」


冷静に返され、返す言葉もありません状態。



「負けました」


「勝負なんてしてません」


ぐふっ…!!

奏、強い。

クールだ。冷静だ。

俺の、完敗です。



「っていうかもうちょっと緊張感持ったらどうですか?

今日がどれほど大切な日か、ってことくらいさすがに分かるでしょ?」


「うん。…っていうか碧、笑いすぎだぞ」


「だって2人…っ!!」


さっきから俺たちの会話を聞いている碧は大爆笑。

別に笑える会話なんてしてないんだけどなあ。



そんなことをしているうちにランニングを終えた部員たちが帰ってくる。



「よし、それじゃあ…」


気持ちを切り替えた。

いつもの俺じゃダメだ。

気を引き締めて。

最後に笑える試合をしなきゃならない。

笑顔で終われる試合を。



「行くぞっ!!」







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