もう1度~私と先生と桜の木~
「…あれ?奏、今の5分で老けた?」
「かもね…」
教室に戻ると類からそんなからかいを受ける。
ツッコむ元気もない。
「おいおい、どうしたんだよ。
マジでお前老けてんぞ」
「うん…ちょっと、ね」
さっきのことを思い出し、憂鬱になって机に顔を伏せた。
それと同時に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
「よし、授業やるぞー」
あ…よーたくんだ。
そう言えば次、英語だったっけ。
よりによってこのタイミングで…
「奏?立てよー
…って寝てんのか?
類、起こしてやって~」
よーたくんが私のことに触れてくれたことが少し、嬉しかった。
「ごめん、よーたくん。
奏、傷心中みたいでさ…」
「あー…ならそのままでいいや」
類、ナイス。
私はなんていい友達を持ったんだろう。
ホント、感謝だよ。
今きっと顔をあげたらさっきよりも多分、老けてる。
そんな顔、よーたくんに見せられない。