もう1度~私と先生と桜の木~




「類?これ、寝てるんじゃね?」


「うん。さっきから微動だもしてない」


少々回想している間にいつの間にかよーたくんが近くに来ていたらしい。

類とのそんな会話が聞こえてきて慌てて頭を上げた。



「なんだ、起きてたのか」


「当たり前です」


「てっきり英語受けたくないから寝ちゃったのかと…」


「いくらキライな授業でも寝ません」


「苦手、じゃなくてキライなんだ…」


よーたくんの落ち込んだ顔。

その顔を見ながら心の中で呟く。


本当は、よーたくんを見ていたから寝ないんです、って。


でもそんな声、届くはずもなく…

って届いたら逆にパニックだけど。


「奏、もう俺は決めたよ」


「何を?」


「部活も引退したことだし、特別補習やるぞ」


「イヤ!」


「お前に拒否権はありませーん」


クククッと悪い笑い方をするよーたくん。


悲劇だ…

いや、ラッキー…?


もう分からないっ!!

どんなリアクションをとればいいの!?!!







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