もう1度~私と先生と桜の木~




そうして迎えた授業後。

何も考えたくなくて、裏庭の桜の木の下に来ていた。


何も考えたくない、そう思っているのにここから図書室の窓が見えてしまう。

なんだかんだやっぱり気になるのだ。


いつもの場所に座って、

ただぼーっとする。



「お隣、よろしいですか?」

突然、肩に手が乗って。

ビクッと反応する。


「もう驚かさないでよ」

声をかけてきたのは類だ。


「悪い。なんか考え事してるみたいだったから」


「だったら声かけないよ、普通」


「俺、どうせ普通じゃないから」


「不貞腐れないでよ」


バシッと類の肩を叩く。



「…あのさあ、奏」


「ん?」


「お前、よーたくんに言っただろ?

授業後図書室で英語教えて、って」


「なんでそれ…」


「よーたくんから聞いた。

奏から言ってきたんだ!ってすっげえ嬉しそうに言ってたよ」


その言葉を聞いてまた胸の痛みが再発した。



「んで、なんで奏はここにいるんだよ?

図書室…行かなくていいのか?」


類の目は真っ直ぐで

私はまた、類から目を逸らした。








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