もう1度~私と先生と桜の木~
「別にさ」
私が黙っていると類は喋り出した。
「いいんだよ。
言いたくないなら言わなくて。
無理矢理聞き出すつもりもないし。
でも…」
風が吹いて、桜の葉っぱが舞う。
「なんか、奏…辛そうだから。
俺、友達として心配なんだ」
堪えていた涙が溢れた。
「ごめん…っ…ごめんね、類」
なんで類はこんな私にこんなにも優しくしてくれるのだろう。
「いいよ、別に。
でもいつか絶対、話せよ。」
手で顔を覆いながら何度も頷いた。
そして何度か深呼吸を繰り返し、涙を抑える。
「…よしっ!」
私は涙を拭って立ちあがった。
「類、もう元気になったよ!」
「え?」
「もう、大丈夫だよ!」
私はいつもの顔で笑って見せた。
と、そこへ走ってくる足音が聞こえてきた。
「…琴音!?」