もう1度~私と先生と桜の木~
特別補習
「奏、ホームルーム終わったら職員室の俺のところに集合な」
次の日。
俺は帰りのホームルームの終わりにそう言った。
何か言いたげな顔で奏は俺を睨んでいたけど。
気づかないフリをして連絡事項を伝える。
そしてホームルームを終え、職員室に戻る。
机の上には十何枚かのプリントがある。
その内容をチェックしていると
「…来ましたけど」
「けど何か、みたいな顔をしない!
もっとニッコリ笑ったほうがいいと思うぞ」
「御心配には及びません」
なんだよ…!
奏の機嫌めっちゃ悪いじゃんか!
機嫌悪い時の奏に口で勝てるヤツなんていないんだからな!
「不機嫌なところ悪いんだけどさ」
「不機嫌じゃありませんけど」
「じゃあなんだよ」
「ちょっとムカついてるだけです」
「それを人は不機嫌、と呼ぶんだぞ」
だったらなんですか?
と、奏の目が俺に言う。
おお…怖っ!!
なんかタイミング悪いなあ。
こんなときに奏にあれを言うなんて。
「あの、これでも私、忙しいんです」
はあ、と1つ溜め息をついて俺は言った。
「約束通り、これから毎日特別補習、やるぞ」