裏生徒会部
担任が入ってくると同時に、教室の騒めきはある程度収まる。
ひそひそと話す奴もいれば、奏十のように興味なしにと机に俯せる奴とか。
中西のように興味津々に前を向いている奴も。
「それじゃ、入っていいぞ」
担任がそう言うと、ガラッと入ってくる転校生。
前髪はぱっつんでストレートの長い黒髪。
「安部 円(アベ マドカ)と申します。短い期間ですが、よろしくお願いします」
姿勢正しく、お辞儀をすると微笑む。
「円ちゃんやて。かわえぇなぁ?成……ってあれ?……一ノ瀬、一ノ瀬」
「何」
「成が固まっとる」
そう言われ、月森の方へと目を向けると、転校生を凝視したまま固まっていた。
静音の次はこの女に一目惚れしたとか?
もしそうなら…どんだけ一目惚れしやすい男なんだ、月森。
「なんでや。なんで成は固まっとんねん」
「本人に聞けよ、そんなもん」
「せやな……なぁ、なぁ。成~?生きとるかぁ~?」
月森の頬を突く。
そうすると、少しビクッとなり、中西の顔を見た。
「どないした?成」
「あ…あぁ。体調が悪いから今日は早退する」
「へ?」
HRが終わると、鞄を手に持ち、月森はすぐに帰って行った。