裏生徒会部


…………ピンポーン……ピポピポピポピポピンポーン………。


「うっせぇ……」


朝。

鳴り止まないチャイムにいい加減イライラして目を覚ます。

適当に着替えて玄関のドアを開くと「わぁー!」と泣きながらいきなり抱きつかれた。


「…なんなんだ」

「いっちー!!話聞いてよぉ!!」


来たのは双子の片割れ、稜香だった。

片手には大きめのバック。

いつも横に結んでいる髪は解かれていて、夏らしい麦わら帽子を被っていた。

見た感じ家出少女。

そんな稜香を離そうとするが中々離れない。

馬鹿力。


「離れろ」

「話聞いてくれるまで嫌…」


潤った目で上目遣いされる。

俺には全く効くものではないが。


「つーか、なんで俺なんだよ。静音とか悠とか咲也とか、他にもいんだろ」

「皆部活だし、静音さん忙しそうだもん」

「つまり俺は暇そうだと」

「そういうことー♪」

「帰れ」


無理矢理に引き離し、ドアを閉めようとするが止められる。

コイツ馬鹿力過ぎるだろ…!!


「かーえーれーっ!」

「やぁーだぁーっ!」

「にゃー」

「あっ、おい!」

「ふぇっ!?」


ドアの隙間から出ていこうとするクロ(猫)を捕まえ、ドアノブから手を離す。

俺に引っ張られる力がなくなり、おもいっきり後ろへと下がって尻餅をついたのはいうまでもない。

その拍子に落ちた帽子を拾い上げると、すぐに中へと入ってきた。


「もう怒った!!話聞いてくれるまでいっちーに抱きついてる!!」

「はぁっ!?」


抱きつかれる、というより押し倒される。


「なんなんだよ!?退け!」

「いっちーが女嫌いってことは知ってるもんね♪」

「だからって押し倒す奴があるかよ!?」


非常識過ぎる。

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