裏生徒会部



「あたしの勝ちぃ~♪」


テーブルの前に座り、にっこりと嬉しそうにピースをする。

「話を聞いてやるから退け」と言うと、当然だという感じで勝手に部屋に入り、行儀良く正座した。

なんで俺がこいつの話を聞いてやんねぇといけない。

まぁ適当に聞き流してさっさと帰して寝るか。


「で?話は?」

「うん。稜哉と喧嘩したの」

「稜哉と?」


珍しい。

稜香と稜哉は姉弟という壁を越えているんじゃないかと思うくらい仲良し、と咲也や悠に聞いた。

そんな2人が喧嘩するってことはよっぽどのことがあったんだろう。


「でもね、稜哉が悪いんだよ!?私は絶対イチゴケーキがいいって言ったのにさ!!」

「イチゴ…ケーキ……?」

「そう!なのに稜哉は絶対チョコケーキだって意地張るの」

「…つまり、意見が別れて喧嘩になったのか?」

「うん。酷いよねっ稜哉!!」


なんともしょうもない原因に呆れる。

つか、なんなんだイチゴケーキとチョコケーキは。

夏フェスのために作っているものなのか、食べるためのものなのか、誰かにやるものなのか。

主語がなさすぎて分からない。


「よし、もう帰れ」

「えぇ!?」

「話は聞いてやっただろ」

「泊まるつもりで来たんだよ?」

「尚更帰れ!」


アホか。アホなのか?コイツは。

どこのどいつが一人暮らしの男の家に泊まろうとする。

稜哉は稜香より常識人だから、今まで止めていたんだと思うが、稜哉なしの稜香はもはやアホだ。

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