裏生徒会部
稜香ちゃんの家は近くで、公園を抜けるとすぐに見えた。
「1つ、どうでもいいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「敬語に戻ってるね」
「あ…」
結構前に「もっと仲を深めるために敬語はやめる」と言ってきた双子ちゃん。
今日はなぜかまた敬語に戻っていた。
「稜哉がいないからかなぁ」
「関係あるの?」
「あるよ~多分」
「多分なんだ」
そこは確定しようよ。
双子ちゃんの家に入ると美味しそうなケーキの匂いがした。
「いらっしゃいませ~」
「お母さん、材料貰っていくねー」
「あらぁ~しずかちゃんじゃな~い。お久~」
「静音です。お久しぶりです」
ほんわか雰囲気全開の双子ちゃんのお母さん。
少し抜けているけど、腕は確かで、ケーキは凄く美味しい。
そして、わざとなのかなんなのか。
昔から私のことを「しずかちゃん」と呼ぶ。
「あ~。しずかちゃん、ケーキ食べていく~?」
「いいんですかっ!?」
「駄目だよ、静音さん。早く作らなきゃケーキ」
材料を詰め込んだらしきバックを持ち、私の腕を引く。
あぁっ…ケーキがっ……!!
「いってらっしゃ~い♪」
にっこりと笑う双子ちゃんのお母さんに見送られ、出て行った。