裏生徒会部

イベントにハプニングはつきもの



午前10時30分。

お店はピークを迎えていた。


「いらっしゃいませ」

「えっと…これとこれ、ください」

「はいっ!」


月桜の生徒は勿論、地域の人達も来ていた。

嵐ちゃん達のお店はというと、同じくらい人で溢れている。

主に柄の悪い人ばかりだけど。


「静音先輩、この調子だと昼前には完売ですね」

「だね」

『おっしゃー!!完売~♪』

『やったな!総長!』

『おうおう。お前らのお陰だぜ!』


聞こえてくる拍手と歓声。

嘘っもう完売っ!?

早すぎる。


「ちっ…アイツらもう完売を……」

「どうすれば…」

「すみません」

「は、はいって…凪さん!?」


そこにいたのは、凪さんだった。


「誰…ですか?」

「初めまして、凪と申します。静音様がピンチのような気がしましたので駆けつけて参りました」


凪さんは一礼し、挨拶をする。

ピンチに駆けつけた、ってどうしてわかったんだろう…凄すぎる。


「私にお任せください」


そう言うと、「ふーっ」と息を吐く。

そして通って行く人の前に立ちふさがるように出て行った。


「本日のおやつに極上ケーキはいかがですか?」


見惚れるほどの笑顔。

声を掛けられた人は顔を見合せ、列に並んだ。

凪さんは此方を向き、親指を立てる。

その後も声を掛け、掛けられた人達は操られているように列へと並んでいく。


「凄いですね、あのメイド。美人ですし」

「うん。私達も頑張ろ!」

「そうですね」


凪さんの活躍もあったおかげで無事に完売できた。

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