裏生徒会部


お金を悠くんに渡すと、駆け足で教室を出て行った。

さっきから何かを忘れている気がしてならない。

その何かは大事なことの気もするし、あまりそうでもない気もするし…。


「…お前、1人なのか」


声に反応し、振り返ると着崩れた制服姿の柊也がいた。


「柊也!あんたサボってたでしょ!?悠くん怒ってたわよ」

「は?サボってねぇよ」

「じゃあどこに行ってたのよ」

「校舎の中とかを回ってた」


どうやら柊也はチラシを持ち、生徒会の劇とケーキ屋の宣伝をするために校舎を回っていたとか。

だから、なのかはわからないけど、確かに柊也が姿を消してからお店にだんだんと人が集まって来ていたかも。


「ん…これチョコ……食べていいのか?」

「悠くんのよ」

「ならいいな」


悠くんのだといいのか。

外へと視線を向けると、自動販売機の前で誰かと話ている悠くんが見えた。

勝手に君のチョコを食べている人がいるよ。


「…どーこ見てんだ?」

「悠くんのとこって……はぁっ!?」


さっきまで座っていた柊也はいつの間にか私の後ろへと移動していた。

顎を私の肩に乗せると、ぎゅっと抱きしめられる。

背中は柊也の体温でだんたんと温かくなっていた。


「あああっあのっ柊也!?」

「ん?」

「なっ何してるのっ!?」

「抱き締めてんの」


いやいやいや、そのままの状況を言われても…。

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